PELP!とは？
店舗起点で叶えるサステナビリティ推進ーキンコーズのCSV経営ー
今回ご登壇いただいたキンコーズ・ジャパン株式会社様(以下、キンコーズ様)は首都圏を中心とした全国38店舗(2023年6月現在)とオンラインを拠点として、無駄なく1枚から利用できるオンデマンドプリンティングサービスを全国で展開しています。
今回は創業のDNAでもある”無駄を生まない”ビジネスを大切にするキンコーズ様の、店舗サービスにおける人や地域を繋ぐ循環型社会の醸成に向けた取り組み事例をご共有いただきました。
キンコーズ社の企業価値とは？
キンコーズ様は2021年にキンコーズの合言葉（ブランドスローガン）である『PARTNERS「刷る」から「叶える」へ』を掲げています。これは意図的にサステナビリティに繋がるスローガンでもあり、社員一丸となり考えた内容でもあることから大切にしているそうです。そんなキンコーズ様が考える企業価値はオンデマンドサービスの【機能的価値】とパートナーとして共にお客様の希望を叶える【情緒的価値】、そして無駄のないエシカルな取組みであるサステナブルな【社会的価値】を組み合わせて提供することであり、これらを通じてSDGsを企業活動そのもので体現しています。
昨年度(2021年度)には店舗起点でのサステナブル推進の取組みとして全国各地にて16もの事業を実施しました。一例としては、事業で取り扱っているアクリル板の端材を活用し、児童サッカーイベント時のメダルとして提供しました。またその活動がきっかけとなり金沢市のバレーボールチームに波及し同製品のノベルティ化にも繋がっています。このような事業活動時に生じる端材を活用した取組みも広がってきています。
キンコーズ社のDNAとCSR活動
キンコーズ社の始まりは50年前のアメリカのサンタ・バーバラ。南カリフォルニア大学の前でコピーショップとして創業しました。”学生の為のキンコーズ”としての創業者の思いが強く、教会のバザーへの協力や地域社会への貢献を常に考えており、当時からCSRへ積極的に取り組む土壌が備わっていたそうです。
日本国内では1992年、名古屋に1号店を出店し全国へ展開していく中で、当時から”必要な分だけ”、”無駄を生まない”といったオンデマンドプリントの先駆けとなりました。これが今も息づくキンコーズ様のDNAとなっています。
同社の企業としてのCSR活動の取り組みのひとつが、東日本大震災を契機とし発足した「一般財団法人 教育支援グローバル基金ビヨンドトゥモロー」への協賛です。主に物品協賛をメインに2012年から継続されているとのこと。その他のCSRへの取り組みを振り返ると、その発端は店舗として「この団体や地域の力になりたい」といった従業員の声から始まるケースが多く、現在も店舗地域のお子様や障がいを持つ方に対して何か協力できることはないかという観点などから発展しているそうです。そして何か一つ事例がスタートすると、社内でもその事例が刺激となり新たなアクションへ繋がる好循環が生まれているのだそう。
社外では、当初一方向のコラボレーションだった取り組みが、別のパートナーを巻き込み横断的なつながりを生み、地域のパートナーとしての結びつきを強めることもあります。企業としても会社全体で関係性を構築するのはもちろんですが、店舗がその地域に根付いたパートナーになっていくことがより正しい在り方ではないかと渡辺様は仰っていました。
地域に根付く
地域に根付いた事例として、同社が「かわさきSDGsゴールドパートナー」となった川崎市との事例をご紹介いただきました。キンコーズ様としては川崎市から掲げられた課題に対し店舗側から積極的に以下の行動を起こしているそうです。
①キンコーズ様にて作成した商品を回収し福祉支援センターでの作業を通し、再利用可能な別商品へアップサイクルする。
②アップサイクルした商品を販売することで商品の売上を福祉雇用へ繋げる。
③【住みやすい街づくり】として、地域支援・協業を通じ、店舗存在の責任を担う。
このような活動を通して新たな課題を発見し、持続的にどう進めていくかサイクルを回しながら取り組んでいます。また、この取り組みの中でスポーツチームとの連携も生まれています。川崎市を拠点とするバレーボールチームとのパートナーシップにより店舗内でのコラボレーション展示やグッズ展開など広範な地域活性にも繋がっているそうです。このようにして現在では全国で5つの自治体、1団体とのSDGsパートナーとして発展しています。
また、山陽製紙との共創事例もご共有くださいました。名古屋エリアにて知育支援を含めた地域貢献として、リニューアルに伴いキンコーズ様で不要となった旧ユニフォームを用いて山陽製紙でオリジナルペーパーを作り、それを使用した紙芝居を作成し、保育所の先生方に読んでもらいます。その後子供たちにはPELP!PAPERで作成したぬり絵を楽しんで貰うという取り組みも実施し、実際の製品とストーリーを交えることでお客様にとってもより身近にSDGsに対しての理解を深めていただくことができたそうです。
その他、新たにPELP!PAPERのポスター印刷のサービスも開始し、環境への取組みに興味のあるお客様との共創にも繋げています。
企業を超え、ステークホルダーの手と手を繋いで
2022年9月には株式会社フォーバル（以下フォーバル様）、キンコーズ社と山陽製紙との三社で
「PELP! PAPER」を通じたGDXの推進を目的とした業務提携を行いました。一社でできることには限界がありますが、二社三社と集まり互いのナレッジやノウハウ、スキルを共有することでシナジー効果を発揮する共創の取組みが今後必要になっていくのではないでしょうか。
現在山陽製紙のHPでもオンデマンドサービスのリンクを設置しています。キンコーズ様の顧客は個人から法人まで幅広いお客様がいらっしゃるので、資源循環に賛同していただける方の輪を広めたいとのことでした。
また、業務提携を行ったフォーバル様の同社サービス会員向けにもPELP!プロダクト相談窓口の設置を行っています。オンデマンドサービスを広く周知させて持続可能な成長に向けてこのようにステークホルダーを繋ぎ、新たな”PARTNER”を想像していく取組みを今後も行っていきます。
最後にまとめとして、経営者が払拭すべきマインドについて下記4つをあげてくださいました。
１、サステナビリティは寄付活動である
２、環境はブームである
３、環境報告書を出せばよい
４、経営とサステナビリティ推進は別物である
そしてこれらの思い込みを変えていかなければ、いくら行動を起こしても従業員にも浸透していかないとまとめてくださいました。
自社の強みであり創業のDNAでもある”無駄を生まない”オンデマンドサービスを通じて、店舗ごとにその土地に寄り添ったCSV活動をどんどん実践し、それぞれの”PARTNER”を結び付けサステナビリティの輪を広げているキンコーズ様のご共有でした。
中小企業におけるCSV経営
キンコーズ様の事例では、創業の精神や事業の特徴をCSR、そしてCSV経営として全社で推進されている様子を知ることができました。
CSR、CSV経営という言葉はここ数年で中小企業にも浸透してきたように思います。中小企業にとってもCSV経営の実践はビジネスチャンス／リスクマネジメントになり得ると言えるでしょう。
小規模な企業においては、顧客との直接的な関係構築が可能であり、顧客の要望に柔軟に応えることができます。また、小規模な組織だからこそ、意思決定や実行も迅速に行うことができ、これが中小企業の強みになります。
CSV経営を推進するにはこれらの強みを生かした地域・社会への貢献と課題解決を軸とする事業戦略の構築が必要です。そのためには組織全体で社会価値・企業価値の最大化を追求する意識を持つことが不可欠です。
パートナーシップで循環型社会へ
PELP!のご参加には、年会費などは不要。専用の回収袋「PELP! BAG」（税込2,750円 ※PELP! BAGの返送料含む）を購入し、不用なオフィス古紙を詰めて山陽製紙に送ることで「PELP!会員」となります。 会員になると、会員同士の交流会であるPPM（PELP!パートナーミーティング）への参加や、古紙のトレーサビリティサービス「KAMITORE™（カミトレ）」の利用が可能になります。
■一袋（A4コピー用紙およそ4,000枚分程度）からはじめられるオフィス古紙アップサイクルサービス ■シュレッダーレスで可燃ごみ削減！ ■環境への取り組みの第一歩としてできることを探している方へ
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※第四回PPM キンコーズ・ジャパン株式会社様のご講演動画はこちらから
